今回は大阪・堺にある百舌鳥古市古墳群の一つ『上石津ミサンザイ古墳』のご紹介です。先日ご紹介した日本一大きな大仙陵古墳と公園を挟んですぐ南側にある古墳で、古墳規模は日本第3位、そんな広大な規模を誇っているのにも関わらずどうしても大仙陵古墳の傍という事で、付属品扱いされてしまいがちな数奇な運命の古墳です。
では、今回はそんな日本第3位の古墳『上石津ミサンザイ古墳』に一礼。
古墳概要
どんな古墳?
この古墳は堺市にあります。JR百舌鳥駅を中心とした百舌鳥古市古墳群の西側エリアを代表する古墳の一つと言えます。
墳丘長は365mと堂々の日本第3位にランキングされる広大な前方後円墳です。
昔は『履中天皇陵』と呼ばれていたんですが、最近は『上石津ミサンザイ古墳』、『百舌鳥耳原南陵(もずのみみはらのみなみのみささぎ)』など地名を取ったもの呼ばれる事が多くなりました。
その理由は大仙陵古墳と同様、宮内庁治定によれば、ここは第17代履中天皇陵とされてきたんですが、その後の研究が進むにつれて、建造順序と歴代天皇の即位順序に矛盾が生じてしまいます。
履中天皇を含む関連する三代の天皇と、治定される陵墓の建造順序を並べていくと第18代履中天皇陵⇒第16代仁徳天皇陵⇒第17代反正天皇陵になってしまいまうんだとか。17代18代の天皇は在位年数が少ないとはいえ、この矛盾はやはりおかしいですよね。
という訳で、『じゃ地名付けとくか』のノリで、現在に至るという訳です。
履中天皇
第17代天皇に即位された方で、仁徳天皇の第一皇子にあたります。弟の18代反正天皇が身の丈9尺2寸(約3m)とか、歯が生まれた時から綺麗に生えそろっていたとか、ちょっと、あれな伝説的な人物像なのに対し、この履中天皇は実在したらしい天皇とされています。
在位6年で崩御したとされていますが、のっけから悶着があったようです。
第16代仁徳天皇が崩御したのち、履中天皇は即位の前に皇后として『葛城黒媛』と言う女性を迎えようと使者を遣わしますが、その使者『住吉仲皇子』は葛城黒媛に自分が太子だ、と嘘をついてまぐわってしまいます。
悪い奴と言うか、葛城黒媛がひたすら気の毒な話です。
その上、皇位を奪おうとして反乱を企て、太子殿に火を放つなどします。
そんなことが起こっているとも知らず、火をつけられた時には宮殿で酒飲んで寝ていたそうです。部下に訳も分からず馬に乗せられ、這う這うの体で逃げおおせた太子はその後、弟の瑞歯別皇子に住吉仲皇子の誅殺を命じ、瑞歯別皇子は見事成し遂げた為、晴れて履中天皇即位となった訳です。
散 策
大仙陵古墳の南側と言う位置関係ながら、両方回ろうとするとかなりの外周距離を歩く事になります。二ついっぺんに回るにしてもここだけを巡るにしても、レンタサイクルを借りれるので、こちらがお勧めです。大仙公園管理事務所で借りることが可能。
拝所
古墳南側に拝所はあります。
大仙陵古墳拝所は人でいっぱいでもこちらまで来る人はまばら、ゆっくりじっくりと拝礼、鑑賞、撮影を楽しむ事が可能です。
外周散策
こちらの古墳、全部ではないですが周囲が遊歩道としてしっかりと整備されているので、楽しんで巡ることが出来るかと思います。
濠の水は苔の色だろう緑色ですが、池面が広いからでしょうか、不潔な感じがなく、むしろ綺麗とすら思えてくるから不思議。
あと、古墳整備の特徴的な部分として、古墳のビューポイントが設けられています。
そこは少し高台になって、柵の上から古墳を眺めることが出来るようになっていたり
違いがわかんない!
視点が少し高いでしょ?
柵の一部が繰り抜かれ、柵を介さず墳丘を眺めることが出来るようになっています。
小さな配慮ですが、いつも柵に押し当てて柵が映らないように無理やり写真撮ってた僕みたいなのにとっては少し嬉しい造りになっています。
アクセス
- 住 所:〒593-0000 大阪府堺市西区石津ヶ丘1
- 駐車場:あり
JR阪和線百舌鳥駅徒歩30分。レンタサイクルを借りて散策すれば、周囲一周を込みしても20分程度で巡る事が可能。
まとめ
今回はこれで以上です。
大仙陵古墳と共に、この古墳も整備がかなり行き届いています、やはり堺市の古墳への力の入れ具合は他の市とは一線を画しているように感じます。それだけに見やすい、巡りやすく、また知名度でずっと勝る大仙陵古墳は、観光バスが近くの駐車場に乗り入れているのもあって、観光客でいっぱいですがこちらは穴場のようになっていて、ゆっくりと巡ることが出来ます。
あと、この日まで全て外周散策は徒歩のみで行い、『折りたたみ自転車』買おうかなどを模索していた僕にとって、レンタサイクル使用の実感は正に爽快の一言。今までの僕をあざ笑いたくなるくらいのお手軽感を覚えてしまっては、今さら徒歩での散策には絶対に戻れません。
レンタサイクル探すの面倒だったのよね☆
あと、健康増進の意味もありまして。
大仙陵古墳だけで終わっては勿体ないです&巡る際はレンタサイクルで。この二つは覚えておいて損はないと思います。