今回ご紹介するのは奈良県御所市にある鴨都波神社です。
近鉄南大阪線を尺土駅(しゃくどえき)から支線に寄り道する形で、南に折れた先にあるこの神社ですが、全国にある加茂(鴨)社発祥の神社とされていて、その起源は約2000年前に遡ります。
歴史も深ければ、境内の摂社も興味深いところが多い鴨都波神社に一礼。
神社概要
御所市、奈良の観光でゴミゴミした奈良市内からは少し離れた奈良県北西部に位置し、この神社は市内北部辺りに位置します。国道24号線沿いに面していて、交通量が多いんですが、表側にある森のお陰で中は静かで落ち着いた空間が広がるひっそりとした神社です。
御由緒
この神社の起源は、はっきりした時期は不明なものの、崇神天皇の勅命を受けた大田田根子の孫『大賀茂都美命』が創建したとされる事から、実に2000年以上を数える由緒ある神社です。
賀茂氏(鴨氏)というのは崇神天皇時代の大豪族で、鴨社はこの鴨氏の氏神社とされている事からこの神社は全国に分布する鴨社の源流となる神社の一つとされています。
ご祭神
この神社のご祭神は
・積羽八重事代主神(つばやえことしろぬしかみ)
・下照姫命(したてるひめのみこと)
2柱とも大国主神の子とされる為、異母兄弟又は姉弟にあたる関係と推察されます。
ご利益
この辺りは創建当時(弥生時代という事になります。)一面の水耕地域やった事、また鴨氏の信仰する氏神で、鴨一族は争いを好まず民に農耕技術の伝承・奨励を行っていたことから、五穀豊穣、八重事代主神は恵比須神と同一とされる事も多く、商売繁盛のご利益があるとされています。また、下照姫命は安産の神様とされていますので、そちらのご利益もあろうかと思います。
八重事代主神は託宣の神、下照姫命は和歌の神とされているので、言葉の神様という繋がりが見て取れます。
境内散策
周囲一面を森が囲うような境内は昼でも少し暗く、そして静かです。街中で豊かな自然を称える神域で、神社の雰囲気が好きと言う方には、きっと気に入ってもらえる神社でしょう。
ご本殿・ご拝殿
境内北側にご拝殿ご本殿があります。
拝殿前には、立て砂がありました。鴨社の総本社だからかは不明。
摂社
境内は余り広くないものの、歴史ある神社やからと言う為か、多くの摂社が設けられています。
神農社
少彦名大神を祀るお社。少彦名大神は、医薬の神様として有名な神様ですが、古来より『酒は百薬の長』とされる事から、この神様は同時にお酒の神様としても信仰されています。
稲荷神社
神農社の隣に鎮座するこの鳥居群、稲荷神社です。ご祭神は宇賀野御霊神。
比較的真新しい朱の鳥居群は緑に囲まれた中、一層鮮やかに映えます。
笹神社
社務所の奥にある笹神社。ご祭神は市杵島姫命。
八坂神社
笹神社の隣にある八坂神社。ご祭神は素戔嗚尊。
御朱印
御朱印は社務所で頂けます。また、セットでこの諸災防除のお札も頂けます。
アクセス
- 住 所:〒639-2271 奈良県御所市宮前町514番地
- 駐車場:あり
電車の場合:近鉄御所線『近鉄御所』駅徒歩6分。
車の場合 :奈良県御所市内国道24号線御所警察庁舎向かい。
境内東側に駐車場有。
まとめ
今回はこれで以上です。
鴨氏は元々、この神社より南の山麓、今の高鴨神社の辺りを本拠としていました。
鴨氏が勢力を拡大し、農耕に適した平地を好むに従い、この神社は今のこの地に移ってきたとされています。その為、こちらと高鴨神社は兄弟社とされるとともに、どちらもが鴨神社源流の神社とされる場所でもあります。
時代でいうと平安時代よりもはるかに古い弥生時代の歴史に触れられる貴重な神社として、静寂の支配するこの厳かな神社は御所市観光の上で最も大事な神社と言えます。