クロソイとはどんな魚?
クロソイとは、黒いソイのこと。
磯魚(いそうお)を語源とする「ソイ」の一種で、その名の通り黒い体色が特徴です。見た目がちょっといかついこの魚は、カサゴの仲間。冬になると市場に出回ることが増えますが、知名度は決して高くありません。スーパーや市場では20cmほどのサイズで販売されており、価格も1匹398円と非常にリーズナブル。カサゴやタラなどの白身魚と比べても格安なので、予算重視の家庭にはうれしい存在です。
しかし…その安さゆえか、ネット上での評価は散々。「不味い」「臭い」と言われ、まるで敬遠される魚の代名詞のような存在です。
クロソイが不味いと言われる理由
クロソイは、「不味い」「臭い」とネットで散々な評価を受けることがあります。その理由の一つが泥臭さ。この臭みの正体は「ジオスミン」という物質で、泥や土のような香りを発生させます。また、流通過程で鮮度が落ちると、この臭みがより一層強まります。
さらにこの臭みは、鯉やブラックバスを思わせる「土っぽさ」が特徴的で、一般的な魚の生臭さとは違います。これがネットで「クロソイは不味い」と言われる大きな原因のようです。
しかし、適切な調理法を用いればこの臭みを大幅に軽減できることも事実です。そこで今回は、香草焼きとアクアパッツァ風という2つの料理に挑戦し、その結果をご紹介します。
クロソイを実際に調理してみた
クロソイの刺身を試してみたが…
まずはそのまま刺身で試してみることにしました。クロソイを刺身で食べる際には、以下の下処理を行いました。
- 工程:
- 塩水に30分ほど漬け込み、臭みを軽減。
- 水気をキッチンペーパーで丁寧に拭き取る。
- 薄切りにして盛り付け。
見た目は非常にきれいで、白身が美しく透明感があります。「これはいけるかも…」と期待して口に運びましたが、その期待は一瞬で崩れ去りました。
結果: とにかく臭い!
泥臭さがダイレクトに感じられ、味どころではありませんでした。刺身として食べるのは相当な覚悟が必要です。ポン酢やオリーブオイル、パクチーなどを添えて風味を変えようと試みましたが、泥臭さを消しきることはできませんでした。
ここで刺身での挑戦は断念。調理方法を変えるしかないと判断し、次の料理に進むことにしました。
クロソイのカルパッチョに挑戦してみた
刺身での挑戦が失敗に終わったため、「アレンジが足りなかったのかも?」と考え、次はカルパッチョに挑戦しました。
カルパッチョであれば、オリーブオイルやハーブ、酸味を加えることで泥臭さをカバーできるのではないかと期待しました。
- 工程:
- クロソイを薄切りにし、塩水で軽く洗った後に水分をよく拭き取ります。
- オリーブオイル、レモン汁、塩をベースにしたドレッシングを全体にかけます。
- パクチーやディルなどのハーブを添えて彩りを加えます。
見た目はとても華やかで、パーティー料理のような仕上がりに。
「これならいけるかも」と再び口にしてみた結果…。
結果: 見た目は変わっても、一切改善されず。
ドレッシングの風味が魚の泥臭さに負けてしまい、オリーブオイルやハーブが全力で頑張っても隠しきれませんでした。刺身よりは幾分マシになりましたが、やはり臭みが残る一品に。
カルパッチョでも臭みを完全に克服することはできませんでした。生食はどうしても泥臭さが目立ってしまうため、ここで生食は断念。調理に火を入れる方向へ進むしかないと判断しました。
香草焼き
やはりそのまんまは無謀でした。ならば焼いてみようということで香草焼き。魚料理の基本ともいえる焼き料理ですが、クロソイの泥臭さを克服するために以下の工夫をしました。
- 工程:
- クロソイの表面にオリーブオイルを塗り、ニンニクをまぶします。
- 香草(タイムやローズマリー)をふんだんに載せます。
- 予熱180℃のオーブンで片面10分ずつ焼き、最後の5分は200℃で仕上げます。
焼き上がった見た目は非常に美味しそう! ですが、実際に食べてみると…。
泥臭い!
香草の香りは良いものの、泥臭さが全面的に押し寄せてきます。
アクアパッツァ風
次に挑戦したのは、トマト煮込みのアクアパッツァ風。煮込み料理なら泥臭さが消せるかも…という期待を込めて作りました。さらに、臭みを軽減するための以下の工夫も追加。
- 工程:
- イカやアサリをバターで炒め、香りを引き出す。
- クロソイを鍋に投入し、カットトマトと白ワインを加える。
- 最後にパクチーとニンニクチップを載せ、ウォッカでフランベ。
煮込んでから味見してみると、最初は泥臭さ指数80%…。しかし、香草やフランベの効果で、最終的にはなんとか食べられるレベルに落ち着きました。料理として成立するには、この濃い味付けが必須だと感じます
。
クロソイの臭みを克服するポイント
調理を通じて分かった、クロソイの臭みを抑えるポイントをまとめます。
- 下処理を徹底:
- 塩水に30分ほど漬けることで臭みを軽減。
- キッチンペーパーで水分をしっかり拭き取る。
- 濃い味付けが重要:
- トマトや味噌、香草など風味の強い薬味を使用。
- 焼き料理よりも煮込みや蒸し焼きが適している。
- 手間を惜しまない:
- 臭みを消すための工程をしっかり踏むことが大切です。
クロソイは臭みがネックになるものの、それを克服すれば味自体は淡白で食べやすい魚です。魚特有の臭いが苦手な人には工夫次第でおすすめできる食材と言えるでしょう。
まとめとアレンジ提案
クロソイは「不味い」という評価が先行しがちですが、安価で栄養価も高い魚です。その魅力を最大限引き出すためには、臭みを抑える工夫が欠かせません。
特にトマト煮込みや香草を活用した料理は、臭みを消すだけでなく、魚の淡白な味を引き立てるための有効な調理法だと分かりました。
次回は、さらに大胆なアレンジに挑戦したいと思います。味噌煮や唐揚げなど、和風のレシピにも期待を込めて! クロソイの新たな可能性を追求します。