年末も近づいてきました、皆さんふるさと納税はしましたか?
導入からはや三年、大分認知も進んできたので、言葉自体も浸透してきたし、利用している人も多くなってきた気がします。
しかしまだまだ利用していない人も多いというのもまた事実です。
そんな中で一番聞かれるのが、
『どんなものかいまいちよく分からない』
『面倒だからやめとこう』
『確定申告とかよくわからない』
こんな感じです、全部間違いです。いや、面倒なのはその人の捉え方次第なんですが。
今回はそんなふるさと納税を(出来るだけ)わかりやすく解説していきます。
ふるさと納税って?
ふるさと納税は寄付行為
ふるさと納税をしていない人の多くは、そもそもふるさと納税ってなんぞや?というところから始まります。だって、土台やる気がないので制度そのものについて全く理解していないケースが多いです。
まずふるさと納税は寄付行為です、ここを押さえておきましょう。
日本ではお金持ちがするものと言う風潮が強いようで、事実、海外では割と一般的な寄付行為というものが日本では浸透していません。
わしは生活するだけでかっつかつなんや!!
そんな一般庶民とは縁遠かった寄付をぐぐぐぐぐぐっと一般的なものにしたのがこの『ふるさと納税』です。
元が住民税の控除から来るものなので上限額はあります、それは仕方のない所です。
ただ、その上限額の範囲内でならいくらでも自分の住んでいる市町村以外の好きな市町村へ寄付をすればした分だけ、自分が翌年納付するはずだった住民税が少なくなるという訳です。
痛みを伴わない寄付、一言で言うとそんな感じです。
寄付金控除を詳しく
今時ふるさと納税の上限額計算などは取扱いサイト全社が用意しているので、詳しい解説は省きますが、本来なら大阪市民は大阪市民なので
納付すべき住民税を大阪市に支払います、当然ですよね。
そこで例えば大阪市民が1万円、ふるさと納税(寄付)を釧路市にしたとします。すると釧路市へふるさと納税を支払った分は全て釧路市へ住民税を納付したことと同義と見なされるので、1万円分だけ大阪市へ本来納付するはずだった住民税が少なく計算される事となります。
この2,000円というのはふるさと納税に限らず、『寄付金控除』、つまり寄付をしたら所得控除や税額控除を受ける事が出来るんですが、その計算上一回だけ適用されるものなので、二回目のふるさと納税には適用されません、つまり二回目に1万円寄付すれば、1万円住民税が減ります。
厳密にはその年最初にしたふるさと納税にコストが2,000円かかるんですが、一々記載するとしつこいだけの文になってしまいますので、以降の文では割愛させて頂きます。
返礼品はお礼です
A市在住民がB市にふるさと納税をしてA市へ納付すべきだった住民税が減る
ここまでは言ってみれば住民税の付け替えです、確かに損はしませんが特に得はしていません。これだけならただの在住市町村への嫌がらせにしかならない為あんまりする人もいないかもしれません。
そこへ介在するのが返礼品です。ふるさと納税をしている人が周りにいる方は、その人が蟹を貰ったとか、肉が来たとか聞いた事があるはず、これが返礼品です。
返礼品と言うのは『我が市町村へ寄付をありがとうございます』と言う事で寄付をしてあげた市町村が地元の特産品などを送ってくるお礼です。このお礼、言い換えればふるさと納税をしたお金で特産品を買っているようなもの。ですが、先ほど記載した通りふるさと納税代金分はほぼ丸々翌年の住民税軽減と言う形で返ってきます。
当然ですが住民税減った分、返礼品返せとは言われませんよね。
つまり、返礼品が無料で手に入るという事です。この返礼品が欲しい人が続出、結果、ふるさと納税をする人は激増しました。
当然ですよね、かたや住民税を納付してもお礼一つ言わない、かたやお礼状がくる(メールや文章などでホンマに来ます。)上にお礼品まで送ってくれる、どちらに納付したいですかって聞く話ですらありませんよね。
ふるさと納税は結構簡単
前章ではふるさと納税が胡散臭くない制度です、というのを書いてきたつもりです。
次にこの章では2問目『ふるさと納税って面倒じゃない?』の回答です。
確定申告をしない場合はワンストップ特例制度
自営業の方はそもそも確定申告をしているので、全く物怖じする話ではありませんが、普通のサラリーマンの方は確定申告って何か怖いというか面倒そうなイメージですよね。何か一杯紙をつけないといけないとか、計算がややこしいとか。
そのイメージは半分正解、半分外れです。
まず前提条件の比定からですが、サラリーマンの方は確定申告なしでふるさと納税が可能です。
『ワンストップ特例制度』といって、①寄付するのが五市町村以内、②申請書を毎回出す、この2要件さえ守れば確定申告をする必要はありません。
この場合、ふるさと納税納付分は全額翌年の住民税から差し引かれる事となります。
※当初、この制度はありませんでした。ホンマに確定申告をしないといけなかったんです。
半分正解なのは、このワンストップ特例申請書、寄付一回につきその市町村へ一々書いて出さないといけないんです。2,3か所になってくると結構手間です。
因みに、市町村から送られてくるのを待たないといけないと考えている人も多いですが、これ総務省HPからいくらでもダウンロード可能です。
https://www.soumu.go.jp/main_content/000397109.pdf
確定申告をする場合は年内に色々聞きに行こう
確定申告をする方で、ふるさと納税の適用はどうすればいいのかなど、分からないなら専門家に頼むのが一番確実です。ただ、税理士さんに頼んでもいいんですが、結構お金がかかります。というかふるさと納税の適用程度、お金を払う程の話ですらありません。
ただ、元々確定申告をしている方がふるさと納税を追加するのは造作もないと思いますが、確定申告初心者が作るのは慣れていない分、難しいと思います。そんな方は是非税務署へ年内に予め作り方を聞きに行き、不足資料が揃えば完成、という段階まで作り込んでおけばいいんです。(具体的には源泉徴収票が揃うのが一番後になるかと思います。)
何だか嫌なイメージを抱きやすい税務署ですが、大げさに言うと脱税している方が強烈に劣悪なイメージを物語るので、そんなイメージがつけられるだけで、善良な市民には親切に教えてくれるのでガンガン利用しましょう。
12月~3月までは年末調整~法定調書~確定申告と彼らは自ら設定したスケジュールで首を絞められています。
お前らもうちょいバランス考えろよと言いたくなるほど税務署はテンパっていらっしゃる上、切羽詰まってから相談に訪れるセレブ連中がいっぱいいますので、話聞くだけで2時間とかざらなんですが、年内特に11月までは彼ら、結構暇でいらっしゃいますので必要以上に丁寧に教えてくれたりします。そこで根掘り葉掘り作成方法を掘り下げておいて、ついでに医療費控除とかの適用方法も聞いておくんです。
確定申告時期(2/16~3/15)に相談に行くなど愚の骨頂です。
税務署はその時期は入口で2列に整列させられます。①相談の方、②(相談なしで)提出の方に分けられます。当たり前ですが相談には長蛇の列、提出だけなら多少列が出来ていたとしても、基本要件さえ問題なければものの数分もかからずに終える事が可能です。というか電子申告ができるなら、そもそも税務署へ行く必要すらありません。
(あと、諸々税金が返ってくる、いわゆる還付申告であれば1月1日~2月15日の間も提出が可能です。)
愚民どもがと言わんばかりに長蛇の列を横目に提出だけ済ませて颯爽と帰るのは爽快以外何物でもありませんよ、是非一度味わってみてください。
税務署に聞きに行くのが面倒くさいというのなら、安い会計ソフトを利用するのもありです。個人的お勧めはfreee
上限額の計算はとっても簡単
さとふる、ふるなび、ふるさとチョイス、『ふるさと納税』と検索しただけでも山ほど取扱いサイトは出てきます。知名度の下がるサイトなど含めるとそれこそ数えきれないほどある事でしょう。
ふるさと納税は見比べている限り、①送料無料、②各サイト毎で品物の品質に違いはなし、ここら辺は共通しているように見受けられます。理由は製品提供元が市町村でかつその原資が住民税の為、サイト毎に優劣をつける事が出来ないのと、送る名目が『御礼』の為。お礼に送料請求されたら怒り狂いますよね。
極めて普通の感覚だと思うんですが。
提供される品物も市町村がこれを差し上げますと言っているもの以外を取り扱う事は当然できませんので、このサイト限定とかそんなお得なお品物は(多分)ありません。
つまり何が言いたいかと言うとどこで申し込んでも同じと言う事です。
なので、各社とも品物で競えないので、あとは利便性で競っているのが現状であり、そんな中自分の上限額計算如き出来ないサイトはお話にならないとばかりにどこのサイトでも取り扱いがなされています。サラリーマン向けに極々簡単なものから自営業者または副業で設けてる人向けに詳細まで計算できるサイトまでその精度はまちまちですが、自分で計算が出来なくても全く支障はない様に作られています。
ふるさと納税は楽天一択
とまあ上述する上で、各サイトそんな違いはありませんよ、と言う事と真っ向から矛盾するんですが、ふるさと納税は楽天一択。そう考える論拠はそのポイント制度にあります。
スーパーセールで買い回ればポイントが倍々
スーパーセールです、知らない人は居ないほどCMガシガシやっていますよね。
事前エントリーをする事で買い回り店数だけ倍々に獲得ポイントが増加するこのシステムはふるさと納税の商品にも適用されます。10か所にふるさと納税をすればその寄付額✕10%がポイントバックされます。
寄付額合計が10万円なら1万円、これはでかいというか、この還元率は中々実現しない事でしょう。寄付上限額が10万円と言うのは結構な高額所得者、敢えて言いましょう上〇国民の方しか実現しない数字ですが
当然ながら、別にふるさと納税でしか買い回り出来ないかと言えばそんなことはありません。一品1,000円以上と言う制約はあるものの、元々通販でゲットしようと思っていたものを楽天で購入する際に合わせて、ふるさと納税をしてしまえば倍々チャンスはそのキャンペーン中に購入したものすべてに適用されるので、ガンガンポイントをゲットする事が出来るという訳です。
ふるさと納税をよく考えてみよう
ふるさと納税後発組は長期展望が出来ない事を露呈した市町村
ふるさと納税は上述の通り返礼品を考えなければ住民税の付け替えをするだけのものです。つまり自分が在住するA市に納付するはずの住民税をふるさと納税をして、B市に納付をします。ここに返礼品が付いて回る事で寄付者が殺到した結果、あるべき姿とは違う形で納税の偏在が起こってしまいました。典型的な例として芦屋市があります。関西在住の人ならご存知だと思います、高級住宅街の代名詞芦屋、金持ち・セレブそこにすめるようになることが一種のステータスとすら言われる芦屋
当然セレブばっかりがそこに住まう市における住民税収入も莫大なもので、芦屋は当初ふるさと納税については静観していました。私たちセレブの町はそんな底辺市の醜い争いには加わりません、十分税収を得ています
ふるさと納税出始めの報道で確かに言ってました。
それが、制度2年目で突如方針転換し芦屋のセレブな雰囲気を出した返礼品を揃えて満を持してふるさと納税戦線に参戦、でもやっぱり税収減は下げ止まりませんでした。結果、ふるさと納税の在り方に抗議したんだとか。
嫌なら見なければ良いと言い放った結果、視聴率がガタ落ちしてしまったというどっかのテレビ局と似ていますね。
何気にそっちの方が酷くないですか?
換言すると、ふるさと納税って自分とこの市役所の運営能力や中長期展望を見る上での一個の指標でもあります。自分とこの税収を過信して無策だった市町村はふるさと納税の波に見事乗り遅れました。あくまで一面ですが。
ふるさと納税先発組はやり過ぎな感も否めない
逆の例で言えば泉佐野市が挙げられます。ふるさと納税では何かと悪役に回ることの多い泉佐野市ですが、殊ふるさと納税論争でいえば、理は泉佐野市にあると個人的に考えています。
かいつまんでこの件を説明するとふるさと納税で泉佐野市は歴代最高寄付額を獲得しました。その理由は非常に高額な返礼品。それも現金同等物とも思えるアマゾンギフトカードなど後付けの政府方針『地場産品に限る』をガン無視した内容に総務省はカンカンです。ふるさと納税から泉佐野市納税分を除外するとまで言い出しました。
仕方がないですよね、自分ところに税収を集めるために景品ばら撒いたんですから、他の市町村、とりわけ胡坐掻いていて税収激減したセレブの都市芦屋辺りは激おこです。
事実です。政府の言う事は正しいです、ただし正しいとするには前提条件があります、それは全部初めから決まっていれば。僕は頭のいい方じゃないんですが
泉佐野市はマナー違反かもしれませんが、ルール違反ではなかったと考えるからです。泉佐野市の良し悪しは置いといて、自分が寄付金獲得する為になりふり構わず返礼品をばら撒くというのはある種当然と考えます。
恐らくは都市部にその税収が偏在する構図が何とかなるなら多少は良いかな♪的な感じで放置されたふるさと納税競争は今や放置できないまでに市場が膨らみました。
政府が急いで火消しに回っているものの、多少の規模縮小はあっても鎮火する事は無いでしょう、何より政府自身鎮静する事は望んでいません。
①地場産品
②返礼品は寄付額の3割程度まで
上記のルールは加えられお得感が薄まったものの、元が簡単に利用できる制度であることもあって、返礼品が突然0にでもならない限り続けることは明らかです。
これはあぐらをかいている市町村だけでなく、ふるさと納税をしない人にとっても問題です。ふるさと納税の返礼品は地場産品と言えど何かしらの商品です。当然商品には原価・売価が存在し、それを負担するのは返礼品を送る市町村です。
つまりふるさと納税をしない人は他人の返礼品を自分の住民税で買い与えているようなものなんです。この点が泉佐野市=正義とならない最大の理由です。
ただ、ふるさと納税は制度自体がなくならない限り、やらない方は返礼品で得が出来ないのではなく、返礼品を買い与える住民税を負担しなければならない分、やらない人が巡り巡って割損を食う構図は既に出来上がってしまいました。
まとめ
いかがでしたでしょうか。ふるさと納税のシステム自体は素晴らしいものです。
住民税は現状、都市部の法人本社などが集まる都市部やその法人へ勤める従業員が住む周りのベッドタウンに集中してしまいます。働く場所がないと人間は住めないし、人間・法人住所に住民税は納付する事になりますから。
ふるさと納税は、そんな一極集中する税金を再分配するHUBの様なものになる予定でした。制度の造り込みがザルやったせいで、返礼品合戦になってしまったものの、後付けとは言え返礼品に対する規制もかかった事から、今後は過度に都市部の税収が失われ過ぎる事なく財源が不足する市町村へ適度に分配が行われる、かどうかはわかりませんが、もう一つの問題点、ふるさと納税欲しさに過度な返礼品をばら撒いてその市町村に住む人に無用な負担をかけるような事にはならない事でしょう。
また、台風や地震などで被災した市町村へ純粋な気持ちから『返礼品なし』の寄付がなされるようになったというのも、ふるさと納税の功績と言えるでしょう。
〇〇共同募金と言うのもそれはそれで大事なんだと思いますが、被災した〇〇市へ寄付したいという、自分がどこにどういう使途に対し寄付をしたのか、がよくわかるというのは寄付のモチベーションを上げる一つの要因となるのかもしれません。まあ、一番の理由は自分のお財布が痛まない寄付だからと言うのが大きいとは思いますが。
僕などはひねくれているので、自分の市町村が何の苦労もせずに僕から取り上げた住民税を礼も言わずによくわかんない道路の補修とかに使われるくらいなら
お礼あげるから、もしくは被災して困ってますと言う市町村へ納付したい、それを実現するのがふるさと納税です。
補足:ふるさと納税額が上限額をオーバーしてしまった時は
最後にこちらもよく聞く、一年の間に『ふるさと納税』をしすぎてしまった場合どうなるのか、です。 ふるさと納税の上限額シミュレーションは取り扱い各社のサイトに専用コーナーが設けられているのがほとんどで、そちらに自分の情報を入力すれば簡単にシミュレーションすることが可能です。
ただ、これはあくまで今年の実績、つまり令和2年中のふるさと納税上限額は令和2年の給与ほか、各種所得金額を受けて正確な金額が決まります。なので、皆さん見込み年収や昨年実績に基づいて上限額のシミュレーションをするわけですが、やっぱり多少ずれてしまうのはやむを得ないところです。
減給されました、とかリストラされましたとか。
思っていたより上限が上だったというなら普通に枠を使いきれなかったというだけですが、上限額をオーバーしてしまったらどうなるのか。
結論としては、確定申告が必須になるものの控除に生かすことは可能です。
冒頭で『ふるさと納税は寄付』と申しましたが、 寄付金控除の中の特例の一つがふるさと納税による税額控除です。一般的に言われるふるさと納税による節税はこの特例を適用した場合に該当するので、広義な意味での寄付金控除には依然として適用対象とされるわけです。なので、給与下がったのにふるさと納税にムダ金使っちまったぜとかお嘆きの方、安心してくださいちゃんと節税に役立てる方法はあります。