今回ご紹介するのは伊豆山神社です。
突然ですが、往年の名夫婦と言えばどんな二人が浮かびますか。
利家とまつ、秀頼と千姫、山内一豊と見性院(千代姫)なんかも挙げられる中、社会科の教科書でも必ず出てくるカップルやけど中々こういうお題で名が上がらない二人がいます、源頼朝と北条政子です。
北条政子・北条家と言えば、『何か怖そう』『源氏を乗っ取った』など悪いイメージで言われることもしばしばですが、頼朝・政子は結構な大恋愛の上で結婚しました。
この伊豆山神社には頼朝と政子が境内で逢瀬を重ねたとされる腰かけ石があって、それに因んでか縁結びのご利益がある神社です。
では、今回はそんな頼朝と政子の愛の語らいも紐解きながら伊豆山神社に一礼。
境内散策
本殿まで
熱海は本当に坂の多い街です。
JR熱海駅から北東の坂道を車で10分、海岸沿いをつかず離れず上ったり下りたりした辺りにこの神社の鳥居があります。
この神社、訪れてまずみんな思うのが多分これ
階段長!!
この階段、現地で見ればよく分かるんですが、頂上がよく見えない位長いです。
本殿前までは837段あります。摂社も何社かありますが、とりあえず本殿へ。
海沿いに建っているのに、綺麗な社殿です。
光り石
この神社のパワースポットの一つです。昔、この神社に猿田彦大神、天宇受売命らの神様がこの地に来た時に一緒に来た神様が降り立つ石という事で、この石に触ったり座ったりする事で神様の御力を授かることが出来るんやとか。
後ろにちっちゃいですが、道祖神の石碑もあります。
腰かけ石
頼朝と政子が婚前、愛の語らいの場としていた腰掛石です。源頼朝と言えば、平氏を打ち破った征夷大将軍として有名ですが、源平合戦では一度敗北して島流しにされています。この時流された先が伊豆の離島。そこで庇護を受け、後の心強い味方となったのが北条家、その息女が政子という訳ですが、この結婚初めから上手く行ったわけではありません。
頼朝の当時の身分は当然島流し、つまり敗軍大将の息子で、しかも時代は平家全盛期。
父親の北条時政も頼朝に嫁がせるどころか平家の嫁として嫁がせようとします(政略結婚てやつですね)。そこで一歩も引かなかったのが北条政子。駆け落ちというか家出同然に屋敷を飛び出して頼朝の元に向かい、二人の間には子(大姫)が出来、ようやく結婚を許されたという訳です。
なので、政子は源氏を乗っ取ったどころか政子が頼朝と結ばれたのはまだまだ日陰者に近かった頼朝で、政子は内助の功(というには表に出過ぎな気もするけど)源氏復権の立役者ともいうべき人物と言えるでしょう。
不仲説というのもたまに聞きますが、嫉妬深いというエピソードは枚挙に暇がありませんが、頼朝の奥州征伐の折に政子は鶴岡八幡宮でお百度参りをするような夫の無事を願う一面もあって、恐妻家ながら才女で夫を立派に支え切った妻と言えるのではないでしょうか。
手水舎
ご存知、神社に来た時はまず立ち寄る手を清めるところですね。こちらの神社の手水舎は、少し変わっています。
赤白二龍というそうです。紅白の龍は見たまんま縁起のよいとされる他、この神社のご祭神の護神であると同時に、赤が火、白が水を表す温泉の神様とされています。温泉の町熱海にぴったりな神様という気がします。
鳥居の裏
呼び方として正しいかわからないですが、石段側を表とするなら裏手に朱の鳥居建てられています。
どうしても逆光になってうまく撮れなかった鳥居自体はともかくとして、この鳥居の見どころは裏の寄贈者。
案内してくれた人と『あの?』『あの』という謎めいた隠語のような会話を重ねてしまいました。あの小泉今日子さんの奉納だそうです。個人でこの規模の奉納は初めて見ました。
なんでも、低迷期にこの伊豆山神社へ鳥居を奉納したところ、劇的に売れっ子へ逆戻りしたという中々の縁起ものなんだそうです。そもそも小泉今日子さんに低迷期があった気が全くしないという個人的な感想はとりあえず置いておいて、どなたかと参拝された方は何気なく案内して、このプチ情報を自慢してみましょう。
摂社
この神社には段上、と階段中腹に何社かの摂社があります。
足立権現社
石段中腹にある足立権現社。ご祭神は役小角。
雷電社
石段登り切った先にある雷電社。御祭神は伊豆大神荒魂・雷電童子。
まつりごとの神様という事で、源氏、足利氏、徳川氏の信仰を集め、改築がなされてきたお社です。
結明神社
足立権現社から更に少し上った辺りの海をバックに仰ぐお社。ご祭神は結明神(日精・月精)といって、2神一対の夫婦神のようで、こちらも縁結びのご利益があるんだそうです。
御朱印
御朱印は社務所にて頂けます。
神社概要
御由緒・ご利益
この神社の起源ははっきりした伝えは無いものの、紀元前4-5世紀まで遡ります。当初は日金山にあったとされますが、836年に現在の伊豆山へ移ったとされています。
御祭神は
正哉吾勝勝速日天忍穂耳尊(まさかつあかつかちはやひあめのおしほみみのみこと)
拷幡千千姫尊(たくはたちぢひめのみこと)
瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)
あめのおしほみみのみこととだけ表記したりもしますが、いずれも長くて読めない日本書紀に登場するような古くから信仰がある神様ばかりです。
ご利益は、頼朝と政子にちなんだ縁結び、他にも頼朝が伊豆の離島へ流された際、源氏再興を祈願した神社とされる事から強運守護にもご利益ありとされています。
アクセス
- 住 所:〒413-0002 静岡県熱海市伊豆山708−1
- 駐車場:あり
熱海駅よりバス・車で約10分。
熱海駅より往復ともバスで行けますが、本数が少ない。一時間に数本と言ったところなので、本宮へお参りを予定されている方は特に予定を立てていく必要がありそうです。
まとめ
今回はこれで以上です。熱海の方に聞きました『熱海に来たらどこに行けばいいですか』答えがここと来宮神社でした。どちらも勿論いい場所ですが、二社とも歴史が深い。これが場所柄という以上に地元の方に親しまれ、信仰されてきた証左と言えるのではないでしょうか。
熱海その一帯が海岸線に位置し、伊豆山神社は少し奥まった高台にあります。海の方へ目を向けると、どこからでもきれいな海を眺めることが出来ます。
頼朝と政子がその仲を深めていったのも納得のロケーションといえます。縁を結びたい方思いの方も、縁を確かなものにしたい両思いの方も一度訪れてみて下さい、きっといい御力に与る事が出来ますよ。