今回は鳥取県にある『仁風閣』をご案内します。
白亜の洋館、そう聞いてどんな場所を想像しますか、恐らくここには思い描いた通りのものがあります。
今回は明治・大正ロマンをそのまま体現したかのようなこの仁風閣をレポートしていきます。
館概要
ここは鳥取県鳥取市
この建物があるのは、鳥取県鳥取市。城は無くても立派な石垣や天守跡が残る鳥取城跡のすぐ隣です。『仁風閣』というのが洋館の名前で、建物の裏側にある庭に建つ御殿は宝扇庵という違う呼び名がついています。
明治末期~大正の雰囲気をそのまま残す洋館
この洋館が建てられたのは明治40年、約1年の工期を以て閑清居に至ったそうです。
見た目の通り、まさに大正ロマンと呼ぶにふさわしい雰囲気をまとった当時の華やかさをそのまま残す館です。外観は勿論、内装もレトロでかつ豪華。アニメやドラマで見る貴族の邸宅を思わせる雰囲気です。
当初は旧鳥取藩主を代々務めた池田家『池田仲博』侯爵の別邸として建設されたものの、実務上は皇族の宿泊施設としても利用できるように設計されたという事で、華族とはいえ、こんな豪華な一個人の邸宅が出来上がったという事です。
因みに仁風閣という名前は皇太子に随伴した海軍大将だった東郷平八郎によって命名されたそうです。
その後、鳥取県の所有となってからは、地元の公会堂や迎賓館として、1949年からは県立科学博物館として1972年まで利用されていたそうです。
実写版『るろうに剣心』セットにも使われました
もしかしたらこの洋館どこかで見たことがある、そんな風に思える人もいるかもしれません、僕もその一人だったんですがこの館、映画のセットにもなりました。
映画るろうに剣心、週刊少年ジャンプ連載の大人気漫画ですね。現在3部まで公開された中の第1作目。武田観柳という一作目のラスボスの邸宅がまさにイメージ通りということだったんでしょう、洋館はもちろん庭での大立ち回りにも使用されたということで、ファン必見の場所にもなっているようです。
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アクセスなど
- 住 所:〒680-0011 鳥取県鳥取市東町2丁目121
- 駐車場:あり
- 入館料:大人150円、高校生以下無料。
駐車場は共通なのか不明ですが、隣接する県立博物館駐車場が一番近いです。
館内散策
表玄関
正面玄関です。この館の庭園は裏側に広がっているので、正面は割と殺風景に思えるかもしれません。
左脇に目をやると、江戸時代の鳥取藩主の拠点だった鳥取城跡がそびえたっています。
和洋折衷というのか、なんだか妙な感じがします。
1F入口
正面の入り口で入館料をお支払い、大人150円はリーズナブルではないでしょうか。
鳥取城の御城印もこちらで頂きます。
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太閤ヶ平(たいこうがなる)は鳥取城攻略のため、鳥取城の東1.4kmの場所『帝釈山』山頂に築かれた前線基地のことです。
さて、まずは1階。元鳥取藩主池田氏の邸宅ということもあり、その家紋が飾られているんですが、そのデザインがチャーミング。
周りの六芒星は置いといて『丸に揚羽蝶』という名前の家紋。家紋のデザインって様々で魅力的な、そして芸術性も認められるものも多いんですが、これだけ精緻で魅力的と思わせる家紋なかなかありません。
2F
2Fへはこれまた豪華な階段を上ります。
2Fへの通路にはもう一つ『螺旋階段』もあるんですが、こちらは鑑賞はできるものの昇降には使えないんだとか。現地で見るとよくわかるんですが、この螺旋階段にはそれを支える支柱がないんです。
2Fにはより装飾が特徴的な家具・調度品が数々設置されています。客間・寝所として使用されていた為ということでしょうか。こんな部屋で飲むコーヒーはたとえインスタントでも高級な香りが漂うことでしょう。
日当たり良好、開放感抜群のバルコニー。
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裏庭
正面からは完全に隠れているので存在にすら気づくことはありませんが、館の裏には見事な庭園が広がっています。
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単純に紅葉巡りの場所としても楽しめそうなお庭。豪華な洋館とともに見ると思わずため息が出てしまうような優雅さが醸し出されています。
まとめ
今回はこれで以上です。
明治~大正といえば、鎖国という閉鎖した社会から窓を全開にした日本が海外デビューをし、急速に発展していった時代です。急激な変化故のひずみも大きかった一方でこういった豪華さ、華やかさも際立った時代だったようです。ここはそんな時代の華や傘の象徴といえるでしょう。
大正時代を題材にした作品なら『鬼滅の刃』が有名ですよね。残念ながらこの館がモデルになったなどのお話はないようですが、時代背景や建物のつくりなどから、漫画の世界観に触れたいという方には正に絶好の場所といえるのではないでしょうか。