今回ご紹介するのは滋賀県にある湖東三山『金剛輪寺』です。
別名血染めの紅葉、何だかホラー要素すら感じる火サス的、ちょっと勘違いしそうな別名がついている紅葉の名所です。
甲乙つけ難い湖東三山のの一つ『金剛輪寺』に一礼。
寺院概要
このお寺があるのは滋賀県愛知郡愛荘町。南北に西明寺、百済寺と共に湖東三山と並び称される天台宗の寺院で、山号を松峯山(しょうほうざん)金剛輪寺と言います。
このお寺の開創は、奈良時代に遡ります。聖武天皇の勅願を受けて、行基による開山とされています。言い伝えでは、行基が一刀三礼(仏像の彫り方。一等彫る毎に三回の礼拝を行い敬いながら彫るんだとか)で観音様を彫っていたところ、その木から血が流れだします。それを見た行基はその木に魂が宿ったとして荒彫り、というかお話の限り彫っている途中にしか聞こえないんですが、そのままご本尊としてお祀りします。その為、こちらのご本尊は生身観音(なまみかんのん)と呼ばれるようになりました。
平安時代に比叡山が開創されて以来、こちらのお寺も天台宗寺院とされ、延暦寺の末寺として多くの信仰を集める寺院になりました。
御本堂が建立されたのは鎌倉時代、元寇の戦勝記念として当時の近江守護六角盛綱によって建立され、現存する国宝に指定されています。
南北朝時代に再建されたという説があるものの、いずれにせよ700年の時を経て現存する木造建築は貴重な文化財と言えますね☆
戦国時代に入ると比叡山と対立を深めた織田信長によりお隣の百済寺は全焼、この金剛輪寺も被災したものの、御本堂や三重塔などは僧たちの尽力で焼け落ちるのを免れたと言います。その後江戸時代~明治にかけて段々と廃れ、廃仏毀釈など存続の危機があったものの、それを乗り越えて現在に至っています。
ご本尊は秘仏とされる聖観音菩薩、この寺院を開創した行基作で、生身観音様と呼ばれ今日も厚い信仰を集めています☆
境内散策
湖東三山の他の二つ同様、山裾を切り開いたように建つ寺院なので、入口の駐車場までも山道、御本堂を巡る道も山道と、ずっと登りが続きます。
車でご参拝できるから
とか油断していると痛い目を見ます、靴はしっかりしたものを用意する方がよいでしょう。(一応事前届により、バスや乗用車で二天門前まで乗りつけが出来るようですが、情緒もへったくれもないので、ここは無いものと思っておきましょう。)
山道
ここのご参拝で特徴的なのが道の両脇を固める千体地蔵様たち。
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山道中腹位から延々居並び続けるお地蔵様たち。前垂れはどなたかからの贈り物なんでしょう。色とりどりのものをつけていらっしゃいますが、皆一様にカラフルな風車を手にしています。
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拝観料は大人600円。まあ普通と言ったところでしょうか。紅葉のシーズンはかなり混みあいます。
ご本堂
総門⇒千体地蔵⇒二天門を経て本堂は山のてっぺんにあります。堂内はほぼ撮影不可な為、写真はありません。
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名勝庭園
紅葉でも紅葉以外でも恐らく寺院の大事な見所の一つがこの庭園。僕は詳しくないので、違いは判らないですが、桃山時代、江戸初期・中期の三つの庭園が連なっているそうで、作者不明ながらその見事な造りは多くの人を魅了してきたそうです。
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血染めの紅葉というホラー的な鮮やかな紅が池面に反射し、川を埋め、庭一帯を覆いつくさんばかり。
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紅葉
名勝庭園を初め、境内各所を彩る紅葉でも有名なこの寺院。境内は広く上に向かって伸びているので、紅葉シーズン中は常にどこかのエリアで楽しめるようになっています。
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総門周辺
駐車場に車止めた時点で既に綺麗な風景が広がります。
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お互い様ですが、人が多いので中々いいショットが撮れませんが、総門と紅葉のコラボレーションも見事としか言いようがありません。
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ご本堂
御本堂と三重塔は揃って山のてっぺんにあるので参拝にはそこそこハードルが高いんですが、それだけに登る価値はあります。
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三重塔
本堂から更に少し上った先にある三重塔。本堂と同じく鎌倉時代の建築され、こちらも国宝に指定されています。
遠目から紅葉を透かして見るのも良し
間近で塔の大きさを感じながらバックの紅葉を眺めるも良しです。
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二天門
本堂すぐ手前にあるのが、二天門です。百済寺にも下げられていた大きな草鞋が印象的。室町時代建造の重要文化財で、当初は2階部分があった楼門だったとか。
銅鐘
本堂向かって右脇にある銅鐘。実に700年の間吊り下げられた鐘。余韻と言うのか、一衝き毎に響く音色がずっと辺りにこだまするような不思議な鐘の音色を奏でます。
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御朱印
御朱印は山門の裏で受付しています。滋賀のお寺だからなのか繁忙期やからか不明ですが、参拝前に前払いで御朱印を預けておくことが可能。
金剛輪寺庭園を動画で
今回もさっぱりと鑑賞いただけるように動画を撮ってみました。
アクセス
- 住 所:〒529-1202 滋賀県愛知郡愛荘町松尾寺874
- 駐車場:あり。
滋賀県湖東三山スマートICよりすぐ。駐車場多数、本堂付近まで車で登れるようですが、要事前相談。
まとめ
今回はこれで以上です。
1年越しで湖東三山紅葉巡りを完遂しましたが、どちらも甲乙のつけ難い見事な場所ばかりでした。千体地蔵の持つ風車が一斉にたなびく様も見ごたえあり。
後ろにそびえる鈴鹿山脈に鎮護される湖東三山は強力なパワースポットでもあるので、その強力なパワーを授かりがてら紅葉を鑑賞するのがこのお寺の正しい楽しみ方でしょう。