今回は岡山県にある『吉備津神社』のご紹介です。
『吉備津』とは吉備津彦命、つまり岡山をというより日本で一番有名なヒーロー桃太郎伝説。桃太郎の事は皆さんご存じでもその鬼の事は鬼ってだけでどんな鬼かご存じありませんよね。ここは桃太郎伝説で退治された鬼＝温羅所縁の神社です。
神社概要
三備国一宮
この神社があるのは岡山県岡山市。三備（吉備国）一宮というこの地域を代表する神社という位置づけになります。岡山の玄関口となるJR岡山駅から西へ進んだ先、新幹線の停まる駅からほど近い場所にあるとは思えないほどのどかな場所にこの神社はあります。
当ブログでも以前ご紹介した吉備津彦神社とはちょうど山を挟んだ向かい側にあるので、ご参拝は恐らくこの２社をワンセットで考えて計画する事になろうかと思います。
神社について
- 創 建：不詳
- 住 所：〒701-1341 岡山県岡山市北区吉備津９３１
- ご祭神：大吉備津彦命ほか８柱
- ご利益：縁結び、夫婦円満、安産育児、長寿、現金収入UP
ご祭神が全９柱という盛り沢山神社ですが、その全部が弟とか、子孫とか吉備津彦命一族。四道将軍としてこの地に派遣された吉備津彦命は平定後そのままここの国造となって代々この血を治める事となった為、この神社でお祀りされることとなったのでしょう。ご利益が縁結びから金運関係までおよそ人一人が望む願い全部叶えてくれるという強力なパワースポットとしても近年有名な場所です。
境内散策
立派なご本殿にお参り
この神社の境内、かなり広いんですが何はともあれご参拝まずはこの立派な楼門から。
門をくぐり階段を上った先にあるご本殿にお参りです。立派な金縁の扁額が光っています。
目を奪われる廻廊
この神社の魅せる場所、それがこの長く伸びた廻廊（かいろう）。山裾に囲むようにして建てられた神社を行き来する通路なんですが、これ自体が見事。
中を歩くとこんな感じです。まっすぐのびやかな廊下は天気のいい日に歩くと本当に気持ちが良いです。
鳴釜神社
廻廊をちょうど中程まですすんださきにあるのがこの御釜殿。ここでは日本最古の占いとされる鳴釜神事が行われる場所です。
温羅は吉備津彦命に最後首はねられて退治されてしまう訳ですが、鬼はそれだけで調伏できるわけではないらしくはねられた首から上は何年も吠え続けその地の人たちを悩ませ続けたんだそうです。ある日吉備津彦命の夢に現れた温羅は『私の妻阿曽媛に御竈殿の火を吹かせよ。幸福が訪れるなら釜は豊かに、不幸が訪れるなら釜は荒々しくなるだろう』と答えたんだとか。
以来いい音が鳴れば幸福が、荒々しくなれば不幸が、というが吉凶占いの神事となり今に伝えられているというとても歴史深い場所だったりします。
桃太郎の神通力通ずる矢置岩
境内の傍らにちょこんと鎮座する腰掛けるのにちょうど良さそうな岩があります。矢置岩です。
桃太郎伝説に詳しい方ならご存じのエピソードかもしれません。吉備津彦と温羅は弓取り合戦で争いました。互いに射った矢は衝突する互角の勝負。そこで吉備津彦は一計を案じ、2本まとめて射る事に。温羅はさっきまでと同じ通り１本ずつ。すると吉備津彦の二本目の矢が見事温羅の目に命中し、勝敗を分けたというもの。正味だまし討ちじゃねえか、という感想はさておきこの時吉備津彦は手で弓を絞って矢を射っていたわけではなく、矢を大きな岩の上に置き、念ずると矢が飛ぶ。つまり神通力のようなもので戦っていたそうです。で、その時に矢を置いて飛ばしたとされる岩が現在まで伝わっていてこれがそれそのものという訳です。
御朱印
この神社でももちろん御朱印は頂けます。
シンプルながら『吉備津』の文字の美しさにうっとりさせられる個人的にお気に入りの御朱印でもあります。『三備』というのは備前、備中、備後の三国の総称だそうで、吉備国というのが後に左記三国に分かれた為、こう呼ばれるようになったんだとか。
まとめ
今回はこれで以上です。
温羅の伝説は他でもまれに聞く鬼には鬼側の事情というものを垣間見ることが出来る、そんなちょっと考えさせられる伝承が残る場所です。鳴釜神事は実際に今も行われていて、祈祷と一緒にお願いする事も見学も可能だそうです。お時間に余裕のある方は山の上の方にある大吉備津彦命が眠るとされる中山茶臼山古墳へも足を運んでみてください。
